私を言葉で抱く年下作家の溺愛
副社長の田辺が、編集部に現れたのは午後だった。

ざわつく空気。自然と道が開く。

「雨宮蓮のおかげで潤っているっていうのに」

周囲を見回しながら、軽く言う。

「何も変わってないね」

その言い方は、どこか皮肉めいていた。

「副社長」

私はすぐに立ち上がる。

すると彼は、わざとらしく私のデスクの横に椅子を引き寄せた。

そのまま、当然のように腰かける。

「久しぶりだね」

穏やかな声。でも、その奥にあるものを、私は知っている。

「……ご無沙汰しております」

形式的に返す。距離を保つための言葉。

「って」

田辺は軽く足を組んだ。そして、ちらりと私を見る。

「最近、君の噂を耳にしたんだけど」

「……噂ですか?」
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