私を言葉で抱く年下作家の溺愛
編集長としての顔。崩さない。

「編集長」

彼も、軽く笑った。

「次回の打ち合わせに来たんだ」

「そうだったの」

短く返す。でも。その目は、どこか柔らかい。

「木原君、ちょっと手が離せなくて」

私は打ち合わせ室を指した。

「コーヒーでも飲んで待ってて」

「了解」

彼は軽く頷く。私はそのまま、コーヒーを淹れに向かった。

湯気の立つカップを持って戻ると——彼は、テーブルに何かを広げていた。

「これ」

何気なく差し出される。通帳だった。

「今月の給与」

「……え?」

思わず、目を見開く。そこに並んでいた数字。

——100万を超えていた。

「……すごいじゃない」

素直に言葉が漏れる。

「やっと、取材も落ち着いたしな」
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