私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「……どうぞ」

社長室の中に入る。

ドアが閉まる。逃げ場がなくなる。

「座りなさい」

言われるままに、椅子に腰を下ろす。

社長は、机の上に雑誌を置いていた。

同じ記事。同じ見出し。

「……事実なの?」

静かな声。でも、圧がある。

私は、少しだけ息を吸った。

「はい、雨宮先生と交際しています」

社長は、しばらく何も言わなかった。

ただ、じっと私を見ている。

そして——低く、言った。

「体裁が悪い。別れろ」

「……そんな……」

思わず、声が漏れる。でも、社長は、表情を変えない。

「君なら、他にいくらでも男作れるでしょ」

——その言い方。胸の奥が、ざらりとする。
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