私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「え?」

「ないんですね」

言い切る。その反応で、分かる。

「いや、あっ……パソコンの中に……」

慌てて立ち上がる彼。

机に回り込み、ノートパソコンを開く。

カチ、と起動音。その間も、私は視線を外せなかった。

 ——この続きが、ある。

それだけで、胸がざわつく。

「これです」

画面をこちらに向ける。

まだ整理されていない文章。

改行も荒く、書きなぐったままのテキスト。

「まだ、書きなぐっただけですけど」

その言葉に、私は即座に首を振った。

「十分です」

断言する。

指先でスクロールする。次の一行。その次の一行。

読み進めるたびに、確信が強くなる。

——これ、売れる。

いや。そんな簡単な言葉じゃ足りない。

気づけば、私は完全に無言で読み込んでいた。
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