私を言葉で抱く年下作家の溺愛
【梨沙へ
 俺は今でもあんたを待っている。
 寂しい思いをさせて、頼りなかったかもしれない。
 でも、それも梨沙との時間の為だから、信じて欲しい。】

——胸が、締めつけられる。視界が、少し滲む。

そして、最後に、小さく書かれていた。

 【PS
 梨沙と温泉、行きたいな。
 二人で、ゆっくりと】

何も言えない。ただ、その文字を見つめる。

指先が、わずかに震える。

「編集長」

木原君が、静かに言った。

「返事、書いてください」

その言葉に、はっとする。

「……どの面下げて、書くのよ」

思わず、苦く笑う。

自分で距離を置いて。自分で終わらせたのに。

「編集長の気持ち、そのまま書けばいいじゃないですか」
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