私を言葉で抱く年下作家の溺愛
そして、翌日。

私は一枚の便せんに、ようやく思いを書いた。

たった一行。

【もう私の事は忘れてください。】

それだけ。それ以上、書けなかった。

「編集長」

木原君が、それを見て言う。

「こういうことじゃないでしょ」

そして、手紙を差し返す。

私は、首を振った。

「こういう事よ」

言い切る。自分に言い聞かせるみたいに。

「頑固だなあ」

木原君が呆れたように言う。

でも、その目は、優しかった。

私は、何も言わない。言えない。

——終わった恋。そう思っている。

そう決めた。それなのに。

どうして——こんなにも、彼のことばかり考えてしまうのか。

どうして——まだ、こんなにも好きなのか。
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