私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「……えっ……」

理解が、追いつかない。

その時だった。電話が鳴る。

「はい、東洋出版です」

木原君が受話器を取る。

「え?はい……あ、はい」

少し驚いたような顔。

そして——受話器を押さえて、こちらを見た。

「雨宮蓮先生とは、良い交際をって……」

一瞬、間を置いてにやっと笑う。

「頑張って下さい、だそうです」

言葉が出ない。

さらに、別の席でも電話が鳴る。

「はい、東洋出版……はい」

別の編集者が、こちらを振り返った。

「こっちも、応援してますだそうです」

——ざわめく空気。でも、それは、嫌なものじゃない。

むしろ——温かい。

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

あんなに隠して。あんなに否定して。終わらせようとしたのに。
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