私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「雨宮先生、待ってますよ」

「ちょっと、木原君!」

思わず声が出る。でも——もう、隠せない。

私はゆっくりと立ち上がった。

その瞬間、蓮が、まっすぐに歩いてくる。

迷いなく、一直線に。

そして——私の前で、止まった。

「梨沙さん」

名前を呼ばれる。あの時と同じ声。

でも、もっと強くて。確信に満ちている。

「迎えに来ました」

——その一言で、編集部に、ひゃあっと歓声が上がる。

ざわめき。笑い声。でも、全部、遠くなる。

目の前には、彼しかいない。

「……えっと」

言葉が出てこない。頭が、真っ白になる。

すると彼は、少しだけ笑った。

「今日の仕事は、もう終わりにして」
< 137 / 150 >

この作品をシェア

pagetop