私を言葉で抱く年下作家の溺愛
ゆっくりと手に持っていたブーケを、私に差し出す。

「俺に付き合って下さい」

——ドクン。心臓が、大きく鳴る。

もう逃げられない。
 
でも——ほんの一瞬だけ、迷う。

仕事。立場。責任。全部が、頭をよぎる。

その時だった。

「編集長」

横から、木原君がすっと入ってくる。

私のデスクに、手をつく。

「残ってる仕事、俺がやるんで」

「……え?」

思わず、振り返る。

「木原君が?」

すると彼は、にやっと笑った。

「知らないんですか?」

少しだけ胸を張る。

「俺、未来の編集長候補ですよ」

——その言葉、あまりにも、彼らしくて。

思わず、笑ってしまう。

そして、胸の奥にあった迷いが、ふっと軽くなる。

私は、もう一度前を見た。
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