私を言葉で抱く年下作家の溺愛
蓮が、変わらず手を差し出している。

まっすぐに。迷いなく。

——迎えに来た男。ここまで来て。まだ、迷うの?

そんな声が、自分の中で響く。

「……ずるいわね」

小さく呟く。

でも、その声は、もう揺れていなかった。

私は、ゆっくりとブーケを受け取る。

そして——彼の手を、取った。

その瞬間、周囲から歓声が上がる。

でも、もう気にならない。

「行こう」

蓮が、静かに言う。

その一言に。すべてが、詰まっている。

私は、小さく頷いた。

「……ええ」

そして、歩き出す。彼の隣で。自分の意思で。

——選ばれたんじゃない。私も、選んだ。

その実感が、静かに胸に広がっていった。
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