私を言葉で抱く年下作家の溺愛
その視線を受け止めたまま、私は続けた。

「そこを直せば、売れるわ。この小説」

断言する。迷いなく。

その瞬間——彼の表情が、わずかに動いた。

そして、ふっと、笑う。

さっきまでとは違う、少しだけ力の抜けた笑み。

「参ったな」

彼は小さく呟く。

「悪い部分の指摘だったから、てっきりボツかと」

私は即座に返した。

「売れるから、指摘するのよ」

その言葉に、彼は一瞬だけ目を細めた。

——何、その顔。

まるで、予想外のものを見つけたみたいな。

「……なるほど」

彼はぽつりと呟く。

そして、じっと、私を見る。

逃げ場のない視線。

「何ですか?」

少しだけ、警戒して問い返す。

すると彼は、ゆっくりと言った。

「やっと分かりました」
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