私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「いらっしゃいませ」

落ち着いた声。柔らかい照明。静かな空気。

すべてが、いつもと違う。

「予約していた、雨宮です」

彼が自然に名乗る。その姿が、妙に大人びて見える。

「ようこそ。こちらになります」

案内されたのは——個室。

扉が閉まると、一気に外の音が消える。

「……へえ」

思わず、周囲を見回す。落ち着いた内装。

ゆったりとした空間。

「こうなってるんだ」

まるで初めて来たみたいに、きょろきょろしてしまう。

自分でも、少しだけ恥ずかしい。

すると蓮は、軽く笑った。

「カウンターもあったんだけどさ」

椅子を引きながら言う。

「個室の方が、ゆっくりできるかなって思って」

——その一言。胸が、ふっと温かくなる。

私のために、そう思って選んでくれた場所。
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