私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「……ありがとう」

小さく、呟く。すると彼は、少しだけ肩をすくめた。

「どういたしまして」

軽い口調。でも、その目は優しい。

テーブルの上には、整えられたグラスとカトラリー。

その一つ一つが、非日常を感じさせる。

「……なんか」

思わず、笑ってしまう。

「緊張するわね」

すると彼は、ゆっくりと私を見る。まっすぐに。

「梨沙」

名前を呼ばれる。その声が、少しだけ低い。いつもと違う。

「……なに?」

顔を上げると——真っ直ぐな視線が、そこにあった。

逃げ場のない。でも、優しい目。

「俺と、結婚してくれないか?」

——時間が、止まった。

音も。空気も。すべてが、遠くなる。

「……結婚……?」

やっと、言葉が出る。でも、実感が追いつかない。
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