私を言葉で抱く年下作家の溺愛
すると蓮は、少しだけ照れたように笑った。

「本当はさ、食事中に言うつもりだったんだけど」

そう言いながら、スーツのポケットに手を入れる。

取り出されたのは——小さな箱。

「……え」

それを受け取る。手が、少しだけ震えている。

ゆっくりと開けると——そこには。

一粒のダイヤが、静かに光っていた。

言葉が、出ない。ただ、見つめるしかできない。

「どうして……」

やっと、声を絞り出す。

「こんなもの、買えるの?」

すると彼は、あっさりと言った。

「来年の原稿料、前借りした」

「……は?」

思わず顔を上げる。

「誰に許可取ったのよ!」

「社長に」

さらっと返される。

——その瞬間、あの社長の顔が浮かんだ。
< 145 / 150 >

この作品をシェア

pagetop