私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「でも雨宮先生だったら」

軽く肩をすくめる。

「年上の女性との恋愛なんて、たくさんしてきたんじゃないですか?」

あの見た目。あの距離の詰め方。

女慣れしていないとは、とても思えない。けれど——

「それがねえ」

彼はあっさりと言った。

「一度もないんすよ」

「……え?」

思わず、彼を見つめる。

嘘をついている様子はない。

軽く笑っているのに、その奥は妙に静かで。

「ほんとに?」

「ほんとに」

その素直さに、少しだけ言葉を失った。

……意外。あまりにも。こんなに人の懐に入るのが上手そうな男が。

彼は、少しだけ視線を落とした。

「だから俺、書けないんすよ」

その一言は、思っていたよりも静かだった。

「……想像じゃダメなんですか?」

作家なんて、想像で書くものだ。

経験がなくても、いくらでも。
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