私を言葉で抱く年下作家の溺愛
けれど。

「書けますよ。それっぽいのは」

そして、少しだけ笑う。

「でももっと、現実味のある作品にしたいんだよなぁ」

その笑みが、すっと消えた。

その言葉に、胸がわずかに揺れる。

現実味。つまり。ただの理想や妄想じゃなくて——

本当に、触れたことのある感情。

「……難しい注文ですね」

私は静かに言った。

「経験がないものを、リアルに書くなんて」

「ですよね」

彼は軽く同意する。

「どっかにいないかなぁ」

雨宮先生は原稿を手に取った。

「俺と恋愛してくれる、年上の女性」

「……失礼ですけど、雨宮先生はおいくつですか?」

「32歳です」

……10歳も年下。いくらなんでも、私としませんか?とは言えない。

「見つかるといいですね」

そう言うと雨宮先生は、私をじーっと見つめた。
< 18 / 150 >

この作品をシェア

pagetop