私を言葉で抱く年下作家の溺愛
翌日、デスクに戻ってすぐ、木原君に声をかけられた。

「編集長。雨宮蓮の原稿って、どうなりました?」

私は手元の資料から目を離さずに答える。

「今、修正してもらっているわ」

即答だった。迷いはない。

「やっぱりダメでした?彼」

その言い方に、ほんの少しだけ眉が動く。

「……その逆よ」

顔を上げて、はっきりと言った。

「え?」

木原君が間の抜けた声を出す。

私はデスクの端に置いてあった一冊の本を手に取った。

雨宮蓮、昨年の作品。売れなかった本。

パラ、とページをめくる。

「彼、まだ死んでないわ」

紙の感触を指先で感じながら、続ける。

「化けるわよ」

断言した。自分でも驚くくらい、迷いなく。

「ええ?」

木原君が驚いたようにこちらを見る。
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