私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「そんなにですか?」

「ええ」

短く頷く。それ以上は、言葉にしなかった。

あの原稿を読めば。あの言葉に触れれば。——嫌でも、分かる。

「……へえ」

木原君はまだ半信半疑の顔をしていた。

でも、それでいい。

これは、読んだ人間にしか分からない。

私は再びページをめくる。

去年の作品。同級生との恋愛。ありふれている設定。

なのに——数行読んだだけで。

その“恋”が、胸の中に入り込んでくる。

温度まで伝わるみたいに。

……やっぱり。この人、すごい。

「きっとさあ。」

無意識に、呟いていた。

「キラキラした恋愛ばっかしてきたんだろうな」

その言葉に、木原君が首を傾げる。

「……誰がですか?」

「ん?」

顔を上げる。

「雨宮蓮」

「はあ」
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