言葉で溺愛する男
「今年の新人賞取った、春崎風音ちゃん。第一稿が上がったって」

 ——ああ、そう。

 今は“新しい星”の方が大事、ってわけね。

 胸の奥に、わずかに冷たいものが落ちた。

 「……で?」

 「そっち、優先してくれって上からも……」

 私はゆっくりと背もたれに寄りかかった。

 編集部のざわめきが、やけに遠く聞こえる。

 新人賞を取った瞬間だけ持ち上げられて、 売れなければ、すぐに見放される。

 そんな世界、今さら分かっているはずなのに——

 「誰が雨宮蓮の原稿、取りに行くの?」

 誰も、何も言わない。

 沈黙が答えだった。

 ……ほんと、分かりやすい。

 私は立ち上がり、ジャケットを羽織る。

 「仕方ないわね。私が行くわ」
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