私を言葉で抱く年下作家の溺愛
納得したような、していないような返事。

「確かに、女にモテそうではありますよね」

その一言に。ほんの一瞬だけ、思考が止まる。

モテそう。……そうね。

あの距離の詰め方。あの、言葉の選び方。

無自覚なのか、計算なのか分からないけれど。

「……そうね」

私は何気ない顔で答えた。

けれど。胸の奥が、ほんの少しだけざわつく。

ページをめくる手が、わずかに止まる。

— 一度もないんすよ。年上の女性と付き合ったこと。ー

ふと、彼の言葉がよぎる。

年上女性との恋愛は、一度もない。……本当に?

こんなに。人の心を掴む言葉を書ける男が?

ページの中の“彼女”は、同年代の女の子だった。

無邪気で。まっすぐで。迷いがなくて。

——きっと、こういう子と恋をしてきたんだろうな。

そう思った瞬間、胸の奥に、ほんのわずかな引っかかりが残った。
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