私を言葉で抱く年下作家の溺愛
帰り道。頭に浮かんでいたのは——

あの、雨宮蓮の真っ直ぐな視線だった。

……どうして。何度も振り払おうとするのに。

気づけば、思い出している。

「……進捗、確認しないと」

小さく呟く。それらしい理由を、無理やり口にする。

でも。そんなもの、ただの言い訳だと分かっていた。

足が、止まらない。

気づけば——昨日と同じ、あの平屋の前に立っていた。

「……ほんと、何してるの」

自嘲気味に笑う。

それでも、インターホンを押していた。

「ごめんください」

今度は、すぐに反応があった。

足音。そして、扉が開く。

「編集長?」

驚いたような声。

昨日と同じラフな格好。

でも、どこか少しだけ目が冴えている。

「ええっと……」

一瞬、言葉に詰まる。

……何て言うの。

本当の理由なんて、言えるわけがない。
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