私を言葉で抱く年下作家の溺愛

② 帰るはずなのに、今夜も彼に抱かれる

一度でよかった。そう、思っていたはずなのに。

翌日になると——気づけば、彼のことを考えている。

あの視線。あの声。あの、まっすぐな言葉。

「……馬鹿ね」

小さく呟く。

仕事が終わる。いつもなら、そのまま帰るはずなのに。

足が、勝手に動いていた。

向かう先は、決まっている。

——雨宮蓮の家。

インターホンを押す。少しだけ、胸が高鳴る。

玄関が開いた。

「梨沙さん」

その声だけで、心臓が揺れる。

「ごめん……来ちゃった」

軽く言う。まるで、なんでもないことみたいに。

でも、本当は分かっている。

“来ちゃった”じゃない。

ここに来たかったのだ。

私は買い物袋を軽く持ち上げた。

「夕食作るね」

靴を脱ぎながら、自然に言葉が出る。

「どうせ、ろくなもの食べてないでしょ」
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