私を言葉で抱く年下作家の溺愛
彼が、こちらを見る。

さっきよりも、少しだけ深い視線。

逃げ場がない。

「……俺といたら」

静かに、問いかけてくる。

「寂しくないですか」

その声は、低くて。どこか、優しかった。

私は、少しだけ考えてから答えた。

「……一緒にいる時はね」

正直に。飾らずに。

その言葉に、彼は小さく笑った。

「それはよかった」

短い一言。でも、その響きが、妙に柔らかくて。

胸の奥が、じんわりと温かくなる。

——一緒にいる時は、寂しくない。

その事実が、思っていた以上に、嬉しかった。

「……でも」

私は、ぽつりと続ける。

「帰ったら、また寂しいわよ」

少しだけ、冗談めかして。

でも、本音も混ざっている。

「だったら、帰らなければいいじゃないですか」

思わず、息を止めた。
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