私を言葉で抱く年下作家の溺愛
距離だけが、縮まっていく。

「お湯、熱くないかな」

彼が、ぽつりと呟く。さっきまでとは違う。

どこか、優しい声音。

「……大丈夫よ」

そう答えると。

「ほら」

軽く手を添えられる。

「入って」

その仕草が、あまりにも自然で。

私はそのまま、湯の中へ身を沈めた。

温かさが、じんわりと広がる。

その瞬間——背後から、腕が回る。

そっと、彼に抱きしめられる。

「……柔らけえ肌」

低く、耳元で囁かれる。

思わず、少しだけ眉をひそめた。

「太ってるって言いたいの?」

すると彼は、小さく笑った。

「違うよ」

そのまま、距離を詰めてくる。

「抱き心地がいいってこと」

——その言い方。ずるい。

「梨沙さん」

名前を呼ばれる。

「逃げないでくださいね」

その言葉に、胸が、じんわりと熱くなった。
< 39 / 150 >

この作品をシェア

pagetop