私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「朝、何食べる?」

彼は振り返りながら聞いてくる。

「シリアルくらいだったらあるよ」

「……ああ、頂くわ」

まだ少しぼんやりしたまま答える。

「OK」

軽く言って、キッチンへ向かう。

その後ろ姿を、なんとなく目で追ってしまう。

……変なの。たった一晩で。こんなに自然に。

誰かの家で朝を迎えている。

「はい」

差し出されたボウル。シリアルに、牛乳。

それだけなのに。妙に、あたたかい。

「ありがとう」

受け取りながら言う。

テーブルに向かい合って座る。昨夜と同じ場所。

でも、空気は少し違う。落ち着いていて。静かで。

どこか——現実的。

「原稿、来週中には第一稿、仕上げるつもり」

彼が、何事もなかったように言う。

私はスプーンを止めた。

「あまり無理しなくていいのよ」
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