私を言葉で抱く年下作家の溺愛
戸惑う女性教師。立場を守ろうとする理性。

それでも。逃げようとするたびに、追い詰めてくる年下の男。

——どこかで見た構図。いや、どこか、じゃない。

指が、ページをめくる。

止まらない。言葉が、流れ込んでくる。

あの夜の空気。あの距離。あの、視線。

全部が、そのまま形になっている。

「……このセリフ」

思わず、呟いていた。

「いいわ」

画面を見たまま言う。

そこに書かれていたのは——『俺の腕の中で甘えろ』

——ボッ、と顔が熱くなる。

ゆっくりと視線を上げる。

「……あのセリフ」

私は、わざと平静を装って言う。

「そのままじゃないの」

——やられた。完全に。

私達の“時間”が、そのまま書かれている。

それなのに。ちゃんと作品になっている。
< 53 / 150 >

この作品をシェア

pagetop