私を言葉で抱く年下作家の溺愛
距離を保つための、言葉。

でも、彼はすぐに返した。

「俺の心でもあるって」

まっすぐに、逃げずに。

その視線に、言葉が詰まる。

だって、あの青年の気持ちは。

あまりにも、真っ直ぐすぎて。

あまりにも、強くて。

……受け止めきれない。

「なあ、梨沙」

名前を呼ばれる。さっきまでとは違う。

少しだけ、重みのある声。

私は、彼と向き合った。逃げずに。

「俺」

ほんの一瞬、間を置く。

でも、その目は揺れていない。

「今度こそ、遠慮しないから」

——その一言。空気が、変わる。

もう、曖昧な関係じゃない。

遊びでも、仕事でも。

言い訳も、通用しない。

完全に、踏み込んでくる宣言。

息が、浅くなる。

逃げたい気持ちと、逃げたくない気持ち。
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