私を言葉で抱く年下作家の溺愛
あまりにもあっけなくて。

あまりにも、当然みたいに言うから。

「すんません。スランプってわけじゃないんですけど」

頭を軽く掻きながら、悪びれもなく笑う。

……何、この男。

胸の奥に、じわっと苛立ちが広がる。

こっちは時間を割いて、わざわざ来ているのに。

「“書けてない”って……締切、今日ですよね?」

声が、少しだけ低くなる。

自分でも分かるくらい、感情が滲んでいた。

「そうっすね」

他人事みたいに頷く。

「……困ります」

私ははっきりと言った。

「あなたの原稿、編集部でずっと止まっているんです。担当も手が回らない状況で——」

「ですよね」

あっさり認める。

その軽さが、余計に腹立たしい。
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