私を言葉で抱く年下作家の溺愛
——やった。あの原稿が。あの時間が。

全部、ここに繋がっている。

その日の夜。私は、いつものように蓮の家にいた。

キッチンに立ち、夕食の準備をする。

包丁の音。鍋の湯気。そのすべてが、妙に心地いい。

「なんか、今日機嫌いいっすね」

背後から、彼の声。振り返らずに答える。

「当たり前でしょ」

少しだけ、口元が緩む。

「増版よ」

その言葉に、空気が一瞬止まった。

「……は?」

振り返ると、蓮が目を見開いている。

「やったじゃない、あなた」

でも、本当は、もっと言いたい。

おめでとうって。すごいって。ちゃんと届いてるって。

「マジかよ……」

彼は、ぽつりと呟いた。信じられない、という顔。

「三年振りだぞ」

少しだけ、声が震える。

「増版なんて」
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