私を言葉で抱く年下作家の溺愛
Tシャツにジャケット。

それだけなのに。いつもと違って見える。

少しだけ、大人びて。少しだけ——遠く感じる。

「何飲む?」

メニューを開きながら聞く。

「ああ……」

彼は迷わず言った。

「あんたと同じものでいい」

「……ワイン?日本酒?ウィスキー?」

少しだけ意地悪く並べる。

すると彼は笑った。

「何でも飲めるんだな、おい」

「まあね」

軽く返して、私は赤ワインを選んだ。

セレクトした料理はコース。

色とりどりの皿が、次々と運ばれてくる。

普段とは違う時間。でも。隣にいるのは、いつもの彼。

「……本当に」

私は、グラスを手に取った。

そして、まっすぐに彼を見る。

「おめでとう」

一拍、置く。少しだけ迷ってから。正直に言う。
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