私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「私……」

視線を逸らさずに。

「あなたがここまでできるとは、思ってなかった」

その言葉に。彼は一瞬、驚いたように目を細めた。

でも、すぐに笑う。

「あんたのおかげだよ」

——ドクン。心臓が、静かに鳴る。

視線が絡む。外せない。

「……何それ」

小さく返す。でも、その言葉は、ちゃんと届いている。

「本当だって」

彼は、静かに言った。

「俺、あんたと出会わなかったら」

少しだけ、グラスを揺らす。

「まだくすぶってたままだった」

その一言に。胸の奥が、じんわりと熱くなる。

……この人。本気で言ってる。

軽口じゃなくて。ちゃんと、分かってる。

「……そう」

私は小さく笑った。

「じゃあ、私の見る目が良かったってことね」
< 70 / 150 >

この作品をシェア

pagetop