私を言葉で抱く年下作家の溺愛
私は、彼のグラスにワインを注いだ。

赤い液体が、ゆっくりと満ちていく。

「この三か月」

静かに告げる。

「あなた、本当によくやったわ」

素直な言葉だった。

編集長としてじゃなくて。一人の人間として。

「ははは」

蓮は軽く笑った。

でも、その目はどこか柔らかい。

「三か月前か」

グラスを軽く揺らしながら、言う。

「あんた、言ったよな」

ちらりと、こちらを見る。

「私が書かせてあげるって」

「ええ、言ったわ」

あの夜のことを思い出す。すべての始まり。

「すげえよ」

彼は、少しだけ感心したように笑う。

「本当に書かせるんだから」

その言い方に、思わず口元が緩む。

でも、どこかで、分かっている。

——ここが、区切りだって。

「そうね」

私はグラスを持ち上げた。
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