私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「編集長らしいな」

そのまま、並んで歩き出す。

自然な距離。自然な歩幅。

でも。心の中は、少しだけ落ち着かない。

駅の方へ向かおうとした、その瞬間——ぐっと腕を引かれた。

「そっちじゃねえ」

低い声。

「こっちだって」

「え?」

振り返ると、蓮が私の手をしっかり握っていた。

そのまま、迷いなく歩き出す。

「俺の家、こっちだから」

「でも……」

言いかけた瞬間、肩を抱かれる。

強引に。でも、どこか自然に。

「帰す気ねえよ」

耳元で、低く囁かれる。

——ドクン。心臓が、強く鳴る。

「蓮……」

名前を呼ぶだけで精一杯だった。

「言ったろ」

そのまま、少しだけ顔を寄せてくる。
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