私を言葉で抱く年下作家の溺愛
「仕事なんです。書けないなら、書く努力をしてください」

はっきりと言い切る。

情なんて、いらない。

売れるかどうか、それだけで判断する世界なんだから。なのに。

「厳しいっすね、編集長」

彼は笑った。楽しそうに。

「本当に一枚も書けてないんですか?」

私は腕を組んだまま、じっと彼を見た。

「ああ……」

雨宮蓮は気まずそうに頭をポリポリと掻く。

その仕草すら、どこか投げやりで——

「まあ、二、三枚は……」

「あるんじゃないですか」

間髪入れずに言う。

「読ませてください」

一瞬、彼が目を瞬かせた。

けれどすぐに、ふっと笑う。

「……編集長、強引っすね」

「仕事なので」

淡々と返す。

すると彼は肩をすくめて、ドアを大きく開けた。

「どうぞ」

ほんの一瞬、ためらった。
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