私を言葉で抱く年下作家の溺愛
ある日の朝。

いつものように支度をして、玄関へ向かおうとした時だった。

「……待て」

低い声で、蓮に止められる。

「家の前に、人がいる」

その一言で、空気が張り詰めた。

「……え?」

聞き返した瞬間、彼は迷わず玄関へ向かった。

ドアを開ける。——次の瞬間、フラッシュが、閃いた。

「今をときめく雨宮蓮先生のご自宅に直撃です!」

騒がしい声。複数の人影。カメラの音。

思わず、息を呑む。——ここまで来たのか。

彼は一度、外に出た。

「少し待ってください」

落ち着いた声で制する。その対応が、妙に慣れていて。

余計に現実味を帯びる。

そして——玄関のドアを閉めると、すぐに振り返った。

「梨沙」

短く、呼ばれる。その声は、はっきりしていた。
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