私を言葉で抱く年下作家の溺愛
玄関側の喧騒。カメラの音。名前を呼ぶ声。

「雨宮先生!」

その中心に、彼がいる。

そして私は——裏口から出る存在。

それから、同じようなことが、何度も続いた。

週に一度。時には、それ以上。

「雨宮先生、素敵なご自宅ですね!」

「ありがとうございます」

玄関の向こうで、交わされる会話。

私はその間、キッチンの奥から、そっと外へ出る。

誰にも見つからないように。

音を立てないように、気配を消して。

——まるで、隠れるみたいに。

歩きながら、ふと思う。守られている。そう思えば、そうだ。

私が表に出れば、面倒になる。

彼の仕事にも影響が出る。

だから——裏から出る。それが、正しい。
< 99 / 150 >

この作品をシェア

pagetop