スターライトパレード
翌日は熱を出して、初めてレッスンを休んだ。
それでも、すぐに次のコンクールの準備が始まった。
止まっている場合じゃないと思った。
ここで止まったら、全部終わる気がしたから。

いつも通り弾けてる。

そう自分に言い聞かせて、ピアノに没頭した。
親に止められるくらい、倒れ込むほど弾いた。
余計なことを考えないように、鍵盤に向かっている時間で一日を埋めた。
何度も弾けば、そのうち体が思い出してくれると思っていた。

けれど……

その次のコンクールで、私は鍵盤に手を置けなかった。

曲は暗譜していた。
音も、流れも、身体のどこにどう力を入れるかも、全部わかっていた。
でも、弾けない。

手を伸ばそうとするたびに、あのときの記憶がフラッシュバックする。
風を切る音。
突き刺さる音。
あの叫び声。
指が震えて、息が浅くなって、視界が白くなっていく。

……気がついたら、私は舞台の上で倒れていた。

両親も先生も、『練習のしすぎ』と言って励ましてくれた。
少し休めば大丈夫。
真面目すぎるだけ。
そうやって、何度もやさしく言ってくれた。

でも、私にはわかっていた。
これは、私だけの問題だった。
練習不足でも、体力不足でもない。
たぶん、もっと違うところが壊れてしまったんだと。

それから、次のコンクールに出ることは、もうなかった。
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