スターライトパレード
約束の、六日後――
スターライトパレードが所属する会社に呼ばれた私は、会議室に通された。
扉を開けた瞬間、思っていたよりずっとちゃんとした場で、足が一瞬止まりそうになる。
テーブルの中央に置かれた、私のスマホ。
その小さな機械に、全員の視線が集まっていた。
メンバーたちだけじゃない。八神さんもいて、資料も並んでいて、急に現実味が増す。
「かけます!」
自分の声が少し上ずった。
意を決して、再生ボタンを押す。
部屋に流れるのは、明るくて軽快な曲。
ピアノしか使えなかったけど、曲調はちゃんと伝わるはず……!
最初の数秒だけで、手のひらにじわっと汗がにじむ。
「うわー!これめっちゃ踊れそうやし、ファンも好きそうやん!」
「ライブ映えしそうだよな!」
「ボク、カラオケで歌いたいやつ~!」
「そうなの!みんなのライブを観てね、コール&レスポンスが楽しくって!」
「モニターにコーレス出してあげたら、ファンも乗ってきやすいかもな」
みんなが、思い思いの感想を口にしてくれる。
ちゃんと届いてる。
聴いて終わりじゃなくて、その先の景色まで想像してくれてる。
それがうれしくて、ちょっと泣きそうになった。
……でも、セナ君だけが違ってた。
会議室の端でずっと俯いて、手を口に当てたまま、何も言わない。
笑ってもいないし、頷きもしない。
その沈黙だけが、妙に重く感じる。
空気が変わったのは、みんなの感想がひと通り出終わった頃だった。
セナ君が、ゆっくり顔を上げる。
「なぁ。……オレは、『代表曲』が欲しいって言ったんだけど!!??」
「ちょ、セナ……!」
椿さんが止めようとした、その瞬間。
私のスマホから、二曲目のイントロが流れ始めた。
……空気が、変わった。
さっきまでの軽やかな反応とは、明らかに違う。
誰もすぐに声を出さない。
音だけが、まっすぐ部屋の真ん中を通っていく。
セナ君が思わず立ち上がって、目を見開いた。
「……なに、これ」
息を呑む。
初めて、『伝えたい』と思って作った曲。
理論じゃない。
顔を思い浮かべながら、選んだ音。
ライブの光も、歓声も、あの夜の鼻歌も、全部この中に入れたかった。
「えっと……私、最近CD買ってなくて……確かA面とB面って、二曲あるんだよね?あれ?両A面とかも聞いたことあったかも?」
驚いた顔で見つめるメンバーたちに、私は少しだけ笑ってみせる。
「三日で書き上げちゃって。せっかくだし、二曲作ってみたの」
信さんが、ふっと頷いた。
「……さっきのがB面。これはA面だな。完全に」
椿さんが腕を組み、口元を緩める。
「セーナ、代表曲がなんだって?」
セナ君を見ると、真っ赤な顔で目を逸らしていた。
怒ってたんじゃない。
一曲目が違うと思ったからこそ、二曲目の衝撃がそのまま顔に出てるんだ。
「う、うるせーな!!八神さん!!レコーディング!!すぐ手配!!」
メンバー全員が、思わず笑い出す。
「待て待て、ピアノ原曲だけだろ。まずはアレンジと作詞の手配が先だって」
「ところで奏ちゃん、これって……何をイメージして作ったの?」
正面に座っていた怜央さんが、身を乗り出して聞いてくる。
改めて聞かれると、なんだか急に気恥ずかしい。
さっきまで曲の話だったのに、今度は自分の気持ちをそのまま言葉にしなきゃいけない。
スターライトパレードが所属する会社に呼ばれた私は、会議室に通された。
扉を開けた瞬間、思っていたよりずっとちゃんとした場で、足が一瞬止まりそうになる。
テーブルの中央に置かれた、私のスマホ。
その小さな機械に、全員の視線が集まっていた。
メンバーたちだけじゃない。八神さんもいて、資料も並んでいて、急に現実味が増す。
「かけます!」
自分の声が少し上ずった。
意を決して、再生ボタンを押す。
部屋に流れるのは、明るくて軽快な曲。
ピアノしか使えなかったけど、曲調はちゃんと伝わるはず……!
最初の数秒だけで、手のひらにじわっと汗がにじむ。
「うわー!これめっちゃ踊れそうやし、ファンも好きそうやん!」
「ライブ映えしそうだよな!」
「ボク、カラオケで歌いたいやつ~!」
「そうなの!みんなのライブを観てね、コール&レスポンスが楽しくって!」
「モニターにコーレス出してあげたら、ファンも乗ってきやすいかもな」
みんなが、思い思いの感想を口にしてくれる。
ちゃんと届いてる。
聴いて終わりじゃなくて、その先の景色まで想像してくれてる。
それがうれしくて、ちょっと泣きそうになった。
……でも、セナ君だけが違ってた。
会議室の端でずっと俯いて、手を口に当てたまま、何も言わない。
笑ってもいないし、頷きもしない。
その沈黙だけが、妙に重く感じる。
空気が変わったのは、みんなの感想がひと通り出終わった頃だった。
セナ君が、ゆっくり顔を上げる。
「なぁ。……オレは、『代表曲』が欲しいって言ったんだけど!!??」
「ちょ、セナ……!」
椿さんが止めようとした、その瞬間。
私のスマホから、二曲目のイントロが流れ始めた。
……空気が、変わった。
さっきまでの軽やかな反応とは、明らかに違う。
誰もすぐに声を出さない。
音だけが、まっすぐ部屋の真ん中を通っていく。
セナ君が思わず立ち上がって、目を見開いた。
「……なに、これ」
息を呑む。
初めて、『伝えたい』と思って作った曲。
理論じゃない。
顔を思い浮かべながら、選んだ音。
ライブの光も、歓声も、あの夜の鼻歌も、全部この中に入れたかった。
「えっと……私、最近CD買ってなくて……確かA面とB面って、二曲あるんだよね?あれ?両A面とかも聞いたことあったかも?」
驚いた顔で見つめるメンバーたちに、私は少しだけ笑ってみせる。
「三日で書き上げちゃって。せっかくだし、二曲作ってみたの」
信さんが、ふっと頷いた。
「……さっきのがB面。これはA面だな。完全に」
椿さんが腕を組み、口元を緩める。
「セーナ、代表曲がなんだって?」
セナ君を見ると、真っ赤な顔で目を逸らしていた。
怒ってたんじゃない。
一曲目が違うと思ったからこそ、二曲目の衝撃がそのまま顔に出てるんだ。
「う、うるせーな!!八神さん!!レコーディング!!すぐ手配!!」
メンバー全員が、思わず笑い出す。
「待て待て、ピアノ原曲だけだろ。まずはアレンジと作詞の手配が先だって」
「ところで奏ちゃん、これって……何をイメージして作ったの?」
正面に座っていた怜央さんが、身を乗り出して聞いてくる。
改めて聞かれると、なんだか急に気恥ずかしい。
さっきまで曲の話だったのに、今度は自分の気持ちをそのまま言葉にしなきゃいけない。