花咲く森のから騒ぎ
「マイラ! おまえは、余の宝物を横取りするつもりなのか! なんという女なのだ。そういう異端の趣味があったのだな。許さんぞ! おまえのようないかがわしい女は、チェルシーを誘拐した罪で投獄するしかない! 観念せい」

 怒りまくっている王子の背後にはジョシュアとケイティがいる。二人とも、王子にしっかりと寄り添っている。

 やだー。なんで、あの二人がいるのよ!

 まさか、二人が密告したの? そうでない限り、この場所にやって来ることなど不可能よね。王子は、他に護衛の者をつけていないわ。

「王子、よく狙って弓を放つのです。裏切り者を許してはなりません」

 ジョシュアは、少し狡猾な顔つきで王子の背中をさすっている。だけど、ジョシュアが私を殺すはずがない。

 あっ。そうか。ジョシュアは、私に分かるように、こっそりと片目をつぶってウインクしている。何の合図なのね。

 よく見ると、ジョシュアが王子の背後から木の棒を振り上げていた。ぐわっと、ジョシュアの形相が変わっていく。そして!
 
 何の迷いもなく、王子をぶん殴っていたのだ。ひぇーーー。
 
「うっ……」

 王子は呻く。弓を引く指先が中途半端に歪む。そして、王子は後頭部を殴られて気絶していたのだった。

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