花咲く森のから騒ぎ
外見がチェルシーのジョシュアは、パタパタっと粉白粉を首筋にはたいている。羽のついた扇子にレースの飾りのついた白い日傘。それらは、チェルシーの実家の売り物である。
ジョシュアがチェルシーだった頃、あちこちの宴に顔を出して、商品を売り込んだおかげで売り上げは伸びたのだ。実際に、ジョシュアが使ってみていいと思う物を職人に作らせているので品質もデザイン性もバッチリなのよ。
それにしても、上流家庭の子女の装いを整えるのは色々と面倒くさいものなのね。
「マイラ、頼む。コルセットの紐を縛ってくれ」
「うん、分かった」
私は、ジョシュアが美しくなる様子を感心したように見つめ続けていた。
刺繍がほどこされた豪華なドレスの胸元に幅の広いサテンのリボンを結ぶのが昨今の流行である。
へーえ、知らなかった。ジョシュアったら、香り袋を下着に取り付けているのね。
優美なショーを見ているような気分になってくる。
「なぁ、マイラ、おまえ、ちゃんとアンにを話したんだろうな」
「ええ、バッチリよ。アンは、喜んで協力すると言ってくれたわ」
ただし、森の秘密に関しては何も話していない。あくまでも、ウィリアム王子としてアン王女に協力を求めたのだ。約束の時刻になるとアンが王子の部屋にやってきた。
「あら、そろそろ出発したしますわよ。お兄様、遅れますわよ」
アンは、しっかりと身支度を整えている。アンとチェルシーは村外れにある花畑へと向かうのだ。女二人で油絵を描くことになっている。お忍びで出掛けるお姫様。従者の数も最小限にしている。
『アンと行く。余も行く』
ダビデがそう言うのでアンは鳥を肩に乗せてあげた。
「では、皆の者、余は、護衛の者達と共に鷹狩りに出かけるぞ。アンは、チェルシーと仲良くするのだぞ」
これから、私はハンスを連れて東側にある猟場、つまり青の森へと向かう事になっている。
アンとチェルシーは四輪馬車に乗って花畑へと向かう。その警護は王子の従者達が行なうように命じている。
そこは絶景ポイント。一面に広がるラベンダー畑は御伽の国のように美しいことで有名なのによ。
アンとジョシュア(見た目はチェルシー)が、収穫を終えた畑を横切り、人里離れた林の脇の街道を通るのだ。
そして、アン達を乗せたの馬車は途中で立ち往生することになっている。
林道の途中に、我々は、先に罠を仕掛けておいた。道を塞ぐように木を切り倒してある。馬車はそこで停止する。この地点で襲わせるつもりで、わざとそういう状況を作ったのである。
鬱蒼とした林の向こう側に人里があるが、この周囲は誰もいない。
「これは困りましたな。木が倒壊して道を塞いでおりますぞ」
「この大木を動かすには人手が必要だな」
御者や護衛の者達は、困り果てたように何かコソコソと話している。二人いた護衛のうちの一人が、葦毛の馬に乗ってどこかへ駆けていった。この木材を除去するための道具や人手を探しにいったのかもしれない。
私は、林の奥にある廃墟となった小屋の奥から望遠鏡で外の様子を見ていた。今のところは何も起こっていない。
「王子、もっと、大勢の助っ人を頼んだ方が良かったのではありませんか?」
私の隣にいるのは、元、密猟者のハンスだけ。
ジョシュアがチェルシーだった頃、あちこちの宴に顔を出して、商品を売り込んだおかげで売り上げは伸びたのだ。実際に、ジョシュアが使ってみていいと思う物を職人に作らせているので品質もデザイン性もバッチリなのよ。
それにしても、上流家庭の子女の装いを整えるのは色々と面倒くさいものなのね。
「マイラ、頼む。コルセットの紐を縛ってくれ」
「うん、分かった」
私は、ジョシュアが美しくなる様子を感心したように見つめ続けていた。
刺繍がほどこされた豪華なドレスの胸元に幅の広いサテンのリボンを結ぶのが昨今の流行である。
へーえ、知らなかった。ジョシュアったら、香り袋を下着に取り付けているのね。
優美なショーを見ているような気分になってくる。
「なぁ、マイラ、おまえ、ちゃんとアンにを話したんだろうな」
「ええ、バッチリよ。アンは、喜んで協力すると言ってくれたわ」
ただし、森の秘密に関しては何も話していない。あくまでも、ウィリアム王子としてアン王女に協力を求めたのだ。約束の時刻になるとアンが王子の部屋にやってきた。
「あら、そろそろ出発したしますわよ。お兄様、遅れますわよ」
アンは、しっかりと身支度を整えている。アンとチェルシーは村外れにある花畑へと向かうのだ。女二人で油絵を描くことになっている。お忍びで出掛けるお姫様。従者の数も最小限にしている。
『アンと行く。余も行く』
ダビデがそう言うのでアンは鳥を肩に乗せてあげた。
「では、皆の者、余は、護衛の者達と共に鷹狩りに出かけるぞ。アンは、チェルシーと仲良くするのだぞ」
これから、私はハンスを連れて東側にある猟場、つまり青の森へと向かう事になっている。
アンとチェルシーは四輪馬車に乗って花畑へと向かう。その警護は王子の従者達が行なうように命じている。
そこは絶景ポイント。一面に広がるラベンダー畑は御伽の国のように美しいことで有名なのによ。
アンとジョシュア(見た目はチェルシー)が、収穫を終えた畑を横切り、人里離れた林の脇の街道を通るのだ。
そして、アン達を乗せたの馬車は途中で立ち往生することになっている。
林道の途中に、我々は、先に罠を仕掛けておいた。道を塞ぐように木を切り倒してある。馬車はそこで停止する。この地点で襲わせるつもりで、わざとそういう状況を作ったのである。
鬱蒼とした林の向こう側に人里があるが、この周囲は誰もいない。
「これは困りましたな。木が倒壊して道を塞いでおりますぞ」
「この大木を動かすには人手が必要だな」
御者や護衛の者達は、困り果てたように何かコソコソと話している。二人いた護衛のうちの一人が、葦毛の馬に乗ってどこかへ駆けていった。この木材を除去するための道具や人手を探しにいったのかもしれない。
私は、林の奥にある廃墟となった小屋の奥から望遠鏡で外の様子を見ていた。今のところは何も起こっていない。
「王子、もっと、大勢の助っ人を頼んだ方が良かったのではありませんか?」
私の隣にいるのは、元、密猟者のハンスだけ。