イケメン狸さんたち、カボチャを届けにくるよ
第五話 伝説のカボチャ
「伝説のカボチャは、食べるひとの身も心も元気にする伝説のカボチャですよ。たぬき島の和尚さんが毎年、満月の月見祭りで大たぬきの寺子屋の生徒のなかから特に優れたとみなされる生徒を選び、その生徒は化けて日本のどこかの困ってる人にその伝説のカボチャを届く任務を背負います。まあ、近年は大体内閣に届きますが…」

えぇええ??!!

牙くんはわたしに布袋を投げつけた。

「ほら!肥料まけ!」

「みんなは手伝わないの?!?!」

「そりゃね、実際に化けなかったのは千結ちゃんだけだからな。」

もううう!!!!!

結局、わたしは汗でベタベタになりながらも、一人で農業をするはめに。その間、みんなはワイワイ話していたのにムカついた。

そんなに暇なら手伝いよ!!

カボチャをそっと撫でた。人を元気にするカボチャっか。すごい力だね。でも、わたしに無関係な話だね。わたしは化けないから。したがって、選べれない。したがって、誰にも届けられない。

でも、届けられたら誰に届くことになるのかな?内閣の人?う〜ん、もっとロマンのある任務がいいな〜病気の…

あ!!!!!

わたしはバランスを崩して、尻もちをついた。

そうだ!!このカボチャをお母さんにあげたら!!!それならまた一緒に住めるんだ!!!

一瞬でもお母さんのことを忘れたなんかありえない!バカなわたし!!バカバカバカ!!!!

決めた!お母さんを助けるためにわたしは化けるようになる!!

「ね!!深川くん!!」

深川くんはじーっとわたしを見下ろした。

「お願い!!!化ける方法を教えてください!!!!」

わたしはその場で土下座。顔は泥まみれになったけど構わない!

「今はもう化けてんだろ。」

「違うの!わたしは人間で生まれ持ってこの形!ね!お願い!!化ける方法教えてくれ!」

って…口から出た瞬間慌てて口をふさいだ。

「人間!?そんなはずないよ!」

みんなは爆笑し始めた。

「なにがそんなに面白いの?!」

「人間なんてこの島に一人もいないさ!人間が住めるようなとこじゃない。というか、人間が来れないよ!」

「おばあちゃんとおじいちゃんだってここに住んでいる!」

みんなはクスクス笑いすぎていてまともに返事してくれない。

「まあ、ええっか。俺達が教えてやろうっか!」

牙くんはニヤッと笑っていた。深川くんさえ肩を震わせながら涙をこらえていた。

ーーーーーーーーーーー

次の日からは寺子屋のあとはみんなでわたしの家の前の森に集まって、化ける練習をし始めた。

「化けるにはまずは自分が今化けているってことを理解せねば。」

「そう言われてもな…」

わたしはコートの中に手を突っ込んだ。ほっぺも膨らせた。

「化けるようになりたい!なんて咄嗟に言ったけどな〜本当はたぬきじゃないし…時間の無駄じゃね?」

柊さんがわたしの顔を覗き込んだ。

「たぬきじゃないことはまずはあり得ません。それでは、まずは尻尾を無からあるものへと。」

深川くんは分厚い本を取り出した。

「尻尾を無にする方法と逆な理屈でやればいいっか…尻尾があるのを感じさせなきゃな…」

わたしは落ち葉の上に座らせた。

「目を閉じて。そして、お尻に集中してください。尻尾のこと以外何かを考えるのはいけない。」

わたしは自分の視野の暗闇の中で深呼吸をした。ここもキンモクセイの香りがする。いや…深川くんからキンモクセイの香りがする。きっと、寺子屋ばかりにいるからかな?

わたしはクスクスと笑い始めた。

「黙れ!!尻尾に集中しろ!!まったく、変な子だな。」

牙くんはわたしの頭をぐちゃぐちゃ撫で回した。

尻尾…

尻尾…

お母さんは今何しているんだろう。まだ生きているのかな…

あ!

尻尾に集中しなきゃ!お母さんのために!

尻尾…

尻尾…

夕飯は何かな?

あ!!まったくダメだ!!集中なんかすぐに切れちゃう!!

「あら、君たち勉強しているんかい?」

突然わたしの背後から声がした。ビクッ!

「お、おばあちゃん?」

「そうだよ〜、えらいね、勉強して。みんなでおやつ食べようっか?」

おやつ?そう言えば、ここに来てからはあまりおばあちゃんとおじいちゃんと喋っていなかったな。でも、なんとなく嫌われている感はある。警戒しなきゃ。

「なんのおやつ?」

「みたらし団子作っといたよ」

にゃたしは顔をしかめた。わたしは洋菓子の方が好きとわかっているからわざと嫌がらせとして和菓子を作ったに違いない!!もしかしたら、苦手なものを克服させようと?!おばちゃんから聞いたのかな…

悪魔!!!

わたしは言い訳を考えようとしていたそのとき。

「おやつ!!!!!食べーたーい!!!!!」

丸吉くん!!!!!

おばあちゃんに何されるのかな…
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