光王子と月夜のシンデレラ
*プロローグ*
引き受けた「クエスト」が終わった直後だった。

びゅんっ――

「……え」
「大丈夫、下がってて」

想定外にも、「相手」とバッティングしてしまい、「相手は3人に対して、こちらは1人。どうしたものか……」と立ちすくんでいる時だった。

風のような速さで自分と相手の間に立ったその人は、あっという間に相手の男3人を、拳と足で倒してしまった。
力任せに殴る蹴るではなく、急所を一撃必殺するような、軽やかでスマートで踊るような、そんな動きで。

強すぎる……何者……

あまりの強さに勝てないと悟ったのか、相手の3人はヨタヨタしながらもこの場を去って行った。

味方……なのか……?

疑心暗鬼になっているこちらに、その強者は振り返る。
窓から流れ込む月明りに照らされたその顔は、キャップを深くかぶり、黒いマスクをつけていて目元が少し見えるだけ。
ただ、その姿を見てすぐに、1つの可能性が頭をよぎる。

「大丈夫ですか?」
「ありが……」

やっぱり……女の人……

周辺のオフィスで働く人なのか、紺のパンツスーツに身を包んだ目の前の強者は、冷静に見ると小柄で華奢な体つきをしていた。
とはいえ驚きの気持ちが大きく、ついお礼の言葉が途切れてしまった。

そんな時、彼女の腰元がキラリと光ったのが見えた。
不自然にならないように視線を移すと、プレートのようなものが付いている。

――CODE NAME No.30――(コードネームNo.30)

彼女に視線を戻すと、大きな目を更に見開いてこちらを見ていた。
なんだ、この反応……

「だっ大丈夫そうなら、わっ私は失礼しますね!」
「あっ、待っ……」

ゴーンゴーン――

近隣の建物からなのか、声をかき消すように港町に21時を告げる鐘の音が聞こえる。

何者かを聞く前に、ものすごい速さで暗闇に消えていった。やはり凄まじい身体能力だ。
だが手がかりはある。コードネームNo.30……

いやそれよりも、あの声……どこかで……

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