光王子と月夜のシンデレラ
ものすごく真っ青で、目を見開いている。
この様子からして冗談とかではないのだろう。
とりあえず横に座り、背中をさする。

しばらくして、落ち着いてきた頃、今宮くんが口を開く。

「篠崎さん。落ち着いたらでいいんだけど、どういうことか教えてくれる?」
「私の特技、絶対音感なの。人の足音もわかるけど、さっきの足音……途中で会った田中先生の足音と違った……」
「たまたまここが響くから、ちょっと違う風に聞こえたとかではなく?」
「靴履き替えた可能性……はないか」

成沢くんも松永くんも一緒に考えている。

「うん。足音って靴でもちろん変わるんだけど、リズムとか体重のかけ方とか……その人の歩き方のクセみたいなのも、何となくわかるんだ」
「すごいな」
「途中で会ったのは間違いなく田中先生。でも……さっきの人の音やリズムは、別人だと思う……」

さっきその人がいる時から新菜ちゃんは気づいていて、ずっと怖い思いをしてたんだよね。
わたしは新菜ちゃんをぎゅっと抱きしめた。

「ご、ごめん……さっきあの人がいる時に言えよって感じだよね。ごめん……怖くて言い出せなくて……」
「に、新菜ちゃんが謝ることじゃないよ!?」
「うん……ありがと。ごめん、戻らないとだよね」

そう言って立ち上がった新菜ちゃんに今宮くんが話しかける。

「あの状況じゃ誰だって言い出せないよ。俺も含めて」
「うん」
「全く気にする必要ないし、むしろ今……教えてくれてありがとう」
「……うん」

今宮くんは微笑みながら、そのまま新菜ちゃんをエスコートするように、2人は先導してコテージから出ていく。

そんな2人の姿を見て、なぜだか心臓がチクリとしながら、私もコテージを後にした。
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