光王子と月夜のシンデレラ
肝試しも終わり、就寝時間。

あの後戻りながら、田中先生の件については班の5人での秘密にしよう、となった。

思い出すだけでゾッとする肝試しだったけれど、今部屋でみんなが寝ているのを見ると、何事もなかったように平和な時が流れていて不思議な気持ち。

部屋は新菜ちゃん含めた女子6人で、新菜ちゃんのおかげで少しずつ打ち解けられた。
今着ている寝巻きも、コテージから貸し出しのハイビスカスのキャミワンピースをみんなでお揃いにしたくらいだ。

今までの私からは考えられないほど、楽しくて充実した時間を過ごしている。
なのに、何かが胸につっかえている感覚で、なかなか寝付けない。


ちょっと外の風に当たろうかな……

コテージのベランダに出て、目の前に広がる夜の海を眺めると。

何だか海が青く光っているように見える。

いけないと思いつつも、ここから海に出ることができるので足が海の方へ向かってしまう。
砂浜を歩いている時、後ろから誰かに腕を掴まれた。

「今宮くん……」
「……何してんの」

振り返ると息を切らした今宮くんがいた。

「その格好……」
「あっこれ!聞いてください、部屋のみんなとお揃いなんですよ」
「……またあんたはそんな格好でウロウロして」
「ん?」

ポツリと言った今宮くんの声は波音にかき消された。
今宮くんはTシャツの上に羽織っていた7部丈のカーディガンを脱ぎ、私に渡してくる。

「夜は寒いし、着て」
「あ、ありがとう」

寒くないよと思ったけれど、何となくそんなことを言える雰囲気ではなく、素直に受け取って着る。

「今宮くんにとっては7部丈でしたけど、私だと長袖ですね」
「……言わなくていいから」

はぁ……とため息をついている。
ため息つくくらいなら貸してくれなくていいのに……なんてまた心臓がチクリとする。

「何でまたこんな時間に」
「あっそうでした!海が!光ってたんですよ」

すっかり忘れていたけれど、2人で海の方へ近づいていく。

「わぁ……!」
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