光王子と月夜のシンデレラ
「さっきからホールの方からパイプオルガンの音が聞こえてるでしょ?」

そういえば……私の中ではBGMになっていたけれど、意識すると綺麗な音色が聞こえてくる。

「ソが半音ズレてる。クエストと関係あるかは分からないけど……」
「とりあえず行ってみるか」
「あ、ちょっと気になることあって。別行動してもいい?」
「今宮くん?」
「おう、じゃあこれで連絡だな」

成沢くんは耳のインカムを指さし、新菜ちゃんと松永くんと大ホールの方へ向かった。
残ったのは今宮くんと私。

「珍しいですね?今宮くんが別行動なんて」
「まあ、あっちは篠崎さんがいるし大丈夫でしょ」
「信頼……してるんですね」
「そりゃ、あれだけの絶対音感あればね」

まただ。心臓がぎゅっと苦しい。
新菜ちゃんはすごい、ただ本当のことを言っただけなのに……
ヤキモチ……これが……?

「大丈夫?」
「あっはい、すみません」
「じゃあ行くよ」

今宮くんは校舎の中へ入り、どんどん進んでいく。

「ま、待ってください!立ち入り禁止区域ですよ、ここ!」
「一般参加の人が、でしょ?このために制服着て来たんだから」
「あ、なるほど……」

今の私たちはこの学校の生徒……そう思って堂々としていよう。
今宮くんは1枚の絵の前で立ち止まった。

「やっぱり……偽物」
「……早いですね。いつもはもっとじっくり見るのに」
「贋作が出回っていて有名な作品なんだ。さっき外からこれが見えて、怪しいなって思ってた」
「どこが違うんです?」
「サインがね、贋作はこうやって筆記体なんだけれど、本物は違うんだ」
「そんなわかりやすい間違え……」
「贋作が多いからね。贋作を見て贋作が生まれて……いつしかこの筆記体のサインが当たり前になっていった。本物は違うってこと知っている人も少ないかもね。AIもそのあたりの情報は入ってなかったんだろうね」

コツンコツッ――

足音が聞こえる……誰かこっちへ来る!
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