初恋が終わらないのは、菖蒲くんのせい
「あ、それ助かるかも。私、案出しで写真集とか見て考えることよくあるから、いい感じのエモい写真とか撮ってきてくれたら考えやすいかも」


神谷さんの合いの手に朝倉くんが感心したように「へぇ」と短く呟く。


「なるほどな。じゃあ菖蒲は写真担当で。幅広い視点から案出しができて助かるな」


朝倉くんが言い終えたところで、ちょうど東さんが話し合い終了だと伝えてきた。





自己紹介をし合った日から一週間が経った。

コンテストに向けて、私たちのチームは朝から晩までデザインを考えるところから始めていた。


「“初恋”といえば、やっぱり甘酸っぱくて可愛い印象が強いと思うの。でも、それはみんなも同じだと思うから、優勝するためには一捻りがほしいよねー。でもその一捻りが難しいんだよ!」


今日はゆるく巻いた髪の毛を下ろしていた神谷さんが、カフェオレの缶を片手に机に両腕を伸ばして項垂れていた。

午後九時を過ぎたからか社内に残っているのは私たちくらいで、共同スペースにある丸い机を五人で囲みながら案出しの作戦会議をしていた。


「菖蒲、何か撮った写真ないの?」
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