初恋が終わらないのは、菖蒲くんのせい
ガバッと体を起こした神谷さんが、隅っこで黙々と夜ご飯のつもりなのかコンビニのおにぎりを頬張っていた菖蒲くんに顔を向けた。

菖蒲くんは無言でおにぎりを食べ続けながら、傍らに置いていたカバンの中から封筒を取り出すと神谷さんに差し出した。


「何これ?」


不思議そうに首を傾げる神谷さんが封筒を開けて中身を取り出す。

中からは現像された何十枚かの写真が出てきた。


「えー!すごい、ちゃんとしたカメラ使ってるの?しかも撮り方うま」

「すごいな。一週間でこんなに撮ってきてくれたのか?」


花や空、夕焼けや日常風景など様々な瞬間を切り取った写真達に、神谷さんと朝倉くん、白石さんが驚いたように目を見開き感嘆の声を漏らしていた。


「…帰り道とかで、思いついた時に撮っただけ」

「だとしてもすごいよ!えーどうしよう、こんなにあったら想像も膨らむけど、コンセプトというか私たちのチームの“初恋”が先に決まらないと、何もデザイン案が固まらないっていうか…」

「そうだな。まずはどんな“初恋”にするかが先だな。ちなみに初瀬は、何かキャッチコピー案出してたりするか?」


急に話の矛先が自分に向けられて、思わずびくりと大袈裟に反応してしまう。


「あ、えっと…ごめん、まだ…」
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