婚約者に「いらない」と言われた私が、愛され妻を演じることになりました
『俺と、結婚してくれないか?』

 その決断を下すまでに、時間は要しなかった。

 もちろん、鏑木の関係が清算された後の話だ。

 実家よりも格上の家柄は、彼女を虐げてきた両親の干渉を遠ざけることができる。そもそも凪はとっくに成人しているのだから、家の言いなりになる必要はない。仕事も辞めさせられているのだし、俺のところに来るのになにも気に病む必要はないだろう。

 戸惑いはするだろうが、彼女にとっても悪い話ではないはず。

 とはいえ初対面の男からのこんな申し出に、すぐに応じるのも難しい。
 そこでお互いにメリットのある契約結婚だと話すと、最終的に凪は受け入れてくれた。






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