婚約者に「いらない」と言われた私が、愛され妻を演じることになりました
うちの会社は、画像診断や手術支援などの医療AIの導入を進めている。目的は医師の負担を減らし、医療水準の底上げを図ること。実際に導入されている現場では、十分な成果を上げてきた。
しかし法に基づく承認が厳格なため、導入までに時間を要する。さらに初期費用が多額の上に、継続的にメンテナンス費用もかかる。そのため、導入を躊躇するのは仕方のないことだ。
それでも国や都道府県から補助金を受けられるようになり、徐々にそのハードルは下がっている。
そんな流れもあり、すぐに導入とはいかなくとも、積極的に話を聞きたがる医療関係者が多い。そして、地域の総合病院を中心に導入が広がりつつある。
しかし、実川のお膝元と言われる地域にある三峰記念病院は、何年か前になるが営業の話すら聞いてもらえなかったと報告があった。最初から院長が出てきて、門前払いも同然の扱いだったという。部下のそんな報告に、小さな引っ掛かりを覚えていた。
俺の知り合いのとある医師が三峰に異動してからは、彼を通して話が進むようになった。
「その結婚、相手方の許可は取れている話ですか?」
「必要ないな」
どういうことだと訝しむ一真に、凪の身の上を話して聞かせた。
「……それは、まあ。なんというか、今のご時世にそんな家があるとは。そういえば、実川の長女は問題があるとかいう噂もありましたね。実際は真逆、ということですか?」
「ああ、そうだ」
実の父親や義母、義妹から凪が受けてきた仕打ちに、一真が不快な顔をする。
「同業者の娘との結婚は、いずれなんらかのメリットがあるかもしれないだろう」
「へえ。で、本音は?」
付き合いが長いだけあって、口先のごまかしは簡単に見破ってくれる。
「放っておけなかったんだよ」
「つまり、ひと目惚れしたと?」
「なんとでも言ってくれ」
これ以上の詮索を突き放すようにそう言った俺に、一真はこれ見よがしにため息をついてみせた。
「気持ちはわかりますが、犬や猫を拾ってくるのとは訳が違うんですよ。ただ世話をすればいいというものでもないし、無責任に誰かに任せるわけにもいかない」
なかなか辛らつな物言いに聞こえるが、一真にそんなつもりはない。これが彼の通常運転だ。
しかし法に基づく承認が厳格なため、導入までに時間を要する。さらに初期費用が多額の上に、継続的にメンテナンス費用もかかる。そのため、導入を躊躇するのは仕方のないことだ。
それでも国や都道府県から補助金を受けられるようになり、徐々にそのハードルは下がっている。
そんな流れもあり、すぐに導入とはいかなくとも、積極的に話を聞きたがる医療関係者が多い。そして、地域の総合病院を中心に導入が広がりつつある。
しかし、実川のお膝元と言われる地域にある三峰記念病院は、何年か前になるが営業の話すら聞いてもらえなかったと報告があった。最初から院長が出てきて、門前払いも同然の扱いだったという。部下のそんな報告に、小さな引っ掛かりを覚えていた。
俺の知り合いのとある医師が三峰に異動してからは、彼を通して話が進むようになった。
「その結婚、相手方の許可は取れている話ですか?」
「必要ないな」
どういうことだと訝しむ一真に、凪の身の上を話して聞かせた。
「……それは、まあ。なんというか、今のご時世にそんな家があるとは。そういえば、実川の長女は問題があるとかいう噂もありましたね。実際は真逆、ということですか?」
「ああ、そうだ」
実の父親や義母、義妹から凪が受けてきた仕打ちに、一真が不快な顔をする。
「同業者の娘との結婚は、いずれなんらかのメリットがあるかもしれないだろう」
「へえ。で、本音は?」
付き合いが長いだけあって、口先のごまかしは簡単に見破ってくれる。
「放っておけなかったんだよ」
「つまり、ひと目惚れしたと?」
「なんとでも言ってくれ」
これ以上の詮索を突き放すようにそう言った俺に、一真はこれ見よがしにため息をついてみせた。
「気持ちはわかりますが、犬や猫を拾ってくるのとは訳が違うんですよ。ただ世話をすればいいというものでもないし、無責任に誰かに任せるわけにもいかない」
なかなか辛らつな物言いに聞こえるが、一真にそんなつもりはない。これが彼の通常運転だ。