婚約者に「いらない」と言われた私が、愛され妻を演じることになりました
 凌也さんの高い鼻が、私の頬をくすぐる。それから深く口づけられ、思わず彼の首に腕を回していた。

 キスに没頭している間に、脚の間に凌也さんが体を入れる。思考はすっかりと蕩けてしまい、されるがままになる。
 口づけをしながら、凌也さんがゆっくりと体を沈めていく。
 違和感や痛みに眉をひそめると、さらに胸もとの愛撫が加わる。与えられる快楽に、体の力が徐々に抜けていった。

「はあ」

 熱い吐息を漏らしながら、その広い胸もとに私をしっかり抱き込む。

 ふたりの間に隙間はまったくなく、ようやくひとつになれたのだと悟った。
 激しい鼓動は、凌也さんにも伝わっているだろう。私が落ち着くまで、彼はそのままでいてくれた。

 それからしばらくして、わずかに体を起こした凌也さんが私の反応を伺いながらゆっくりと動き出した。
 痛みは徐々に薄れていくものの、慣れない感覚によくわからないでいた。

「あっ……」

 けれどある一点を刺激されたとき、全身を駆け抜ける快感に体を震わせた。
 ふっと笑った凌也さんが、私の反応を見て「かわいい」とつぶやく。けれど言葉とは裏腹にその瞳の奥は情欲に染まっており、律動は徐々に速くなっていく。

 同じところばかり繰り返し攻められて、喉が枯れるほど嬌声をあげ続けていた。
 限界がもうすぐそこに迫っているのがわかる。
 それを待ち望む半面、なだか怖くなってくる。助けを求めるように凌也さんに向けて手を伸ばすと、指を絡めるようにして握ってくれた。

 指をぐっと握り込み、目をきつく閉じる。
 瞼の裏が白く染まり、全身に力がこもった。

「ああぁ……」

 自分のものとは思えない声をあげて、大きく背中を反らせる。
 さっきとは比べ物にならないほど大きな快楽の波に、体ががくがくと痙攣する。凌也さんはなおも責め立て、私から少し遅れて動きを止めた。

 呼吸はすっかり乱れ、肌がじっとりと汗ばんでいる。
 私の首筋に顔を埋めた凌也さんが、甘えるように頬を擦り寄せてくる。

 その意外な行動がなんだかかわいく思えて、気怠い腕を持ち上げてそっと抱きしめ返した。




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